映画「メアリと魔女の花」の主人公メアリ。魔女と言えばお決まりの黒ネコも登場する。キャラクターを引き立てる背景美術にも注目 (c)2017「メアリと魔女の花」製作委員会
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映画冒頭は迫力のシーン。この場面が意味するものとは? 怪しい青色の光の正体とあわせ、物語が進んでいくと徐々になぞが解けていく (c)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

 宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫のもとで育ったスタジオジブリの後継者たちが、映画を完成させた。現在公開中の独立後第1作「メアリと魔女の花」だ。ジブリ制作部門の解散から3年。いま、「ポストジブリ」時代の扉が開いた。

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 スタジオポノックという聞き慣れない名前のスタジオが制作した長編アニメーション映画「メアリと魔女の花」が、全国で公開中だ。

 監督は、宮崎駿(76)を師匠と仰ぐ米林宏昌(44)。プロデューサーは、鈴木敏夫(68)のもとで学んだ西村義明(39)。スタジオジブリが制作部門を解散した後に同社を退社した2人が立ち上げたのが、新たなアニメーション映画制作スタジオ「スタジオポノック」だ。彼らが初めて完成させたのが、この作品。

 原作は、英国人作家メアリー・スチュアートの児童文学『The Little Broomstick(メアリと魔女の花)』。森の中で「魔女の花」を見つけた少女が、魔法のほうきで魔女の学校に導かれ、そこで起きるさまざまな事件に立ち向かっていく。原作はこれをわずか1日の出来事として描くが、映画では2日弱の物語へと「延長」されている。

 監督の米林は言う。

「普通の女の子が、かりそめの魔女の力を得る。しかし、また普通の女の子に戻ってしまった時に何ができるのか。そこが一番面白いと思った」

 原作を提案したプロデューサーの西村も、こう応じた。

「才能のある人間の映画をつくりたくなかった。魔法という才能を持つ人間の悩みや苦しみではなく、何も持っていない人間を描くべきだと思った。だって、僕たちは誰もが力のない人間なんだから。絶対に魔法使いから始まってはいけないし、最後も魔女で終わってはいけなかった」

●新しさを感じさせる

 魔女、ふたたび。

 このキャッチコピーから、スタジオジブリの「魔女の宅急便」(1989年)を連想した人も多い。「失われた魔法の力を徐々に回復する」という「魔女の宅急便」とは正反対の物語設定だが、それでも「ジブリ色」は強い。「天空の城ラピュタ」(86年)や「もののけ姫」(97年)、「千と千尋の神隠し」(2001年)など、宮崎作品を思い起こさせる場面が随所に現れる。

 米林は、

「意識して入れたわけではない。ファンタジー作品ならよく出てくるモチーフばかり」

 としつつ、こう話す。

「みなさんが宮崎作品をよく観ているということなのでしょう。僕も宮崎監督から学んだことは多い。それが自然ににじみ出てくるのだと思う」

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