
「コンビニ百里の道をゆく」は、47歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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1975年6月の1号店オープンから42年。ローソンはオーナーのみなさんの努力と熱意に支えられてきました。
この間、コンビニの存在は常にポジティブに受け入れられたわけではありません。青少年への影響が危惧されたり、ごみが増えると苦情が出たり。出店への反対運動が起こったこともありました。苦い経験をされたオーナーさんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、いまはまったく違います。コンビニは地域の防犯の一端を担う存在として子どもたちを見守り、働く世代の生活全般を支援し、高齢者の憩いの場にもなっている。資源、エネルギーなど環境に配慮した店舗設計も当たり前になりました。
東日本大震災や熊本地震に際しては、十分な商品をご提供できなくても「ローソンが開いていただけで勇気づけられた」という声をたくさん頂戴しました。それも、オーナーの方々が町を愛し、地域のみなさんを愛し、本当に社会の役に立ちたいと願って店舗経営をされてきた結果です。
6月下旬、10年間の契約期間を終えて再契約してくださったオーナーのみなさんをハワイにご招待しました。これはローソンの恒例行事。私も同行し、ディナークルーズで懇親会を開きました。
どんな仕事でも10年やればいろいろあります。つらいことも多かったはずなのに、ほとんどの方が「思い出すのは不思議といいことばかり」とおっしゃる。ふとしたときにお客さまから「ありがとう」と言われたことや、クルーさんと一緒にイベントを盛り上げたことなど、思い出話を伺っているうちに、一緒にテーブルを囲んでいたお嬢さんがお母さんに「お店をやって育ててくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝える場面もありました。
働く両親の姿を見てお店を継いだ「2世」の参加も多く、オーナーさんが世代交代するフェーズに入ったことを実感。コンビニ経営はオーナーのみなさんが「主役」です。これからも全力でサポートします。
※AERA 2017年7月31日号

