2000年に本のECサイトとして日本に上陸したアマゾン。いまやあらゆるものを扱い、他の追随を許さない巨大ECサイトに成長した。一方で、アエラが行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%もいた。拡大の原動力は。便利なのに不安にさせるものの正体は。AERA 2017年7月24日号では「アマゾン」を大特集。アマゾン・ジャパンのキーマンたちに話を聞いた。
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東京・目黒のアマゾンジャパン本社。19階にある受付に、一人、また一人と社員たちが集まってきた。
7月上旬の金曜日、約束の時間は午前10時半。今回のアマゾン特集の扉の写真を撮るために、できるだけ多くの社員に集まってもらってください、と広報を通じてお願いしたのだった。
何人くらい集まりますか?の問いに、広報の答えは「50人から100人」。それが、最終的には170人に膨れ上がり、ご覧のような一枚となった。
集まったのは、人種も国籍も年齢も、性別も服装もバラバラの社員たち。売上高約1・2兆円、取扱商品総数2億種類を超えたアマゾンジャパンは、年を追うごとにサービスの網の目を細かくしながら膨張を続けてきた。いまでは、本やCD、DVDはもちろん、日用品から中古車、ウェディング、リフォームまでを取り扱う。
空白地帯だった生鮮食品も「アマゾン・フレッシュ」としてスタートさせた。
●できれば使いたくない
しかし、日々の生活に欠かせない存在となる一方で、アマゾンには「秘密主義」「得体が知れない」といったイメージが付きまとう。アエラがインターネットを通じて行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%に上った。
アマゾンなどネット通販の取扱量が急増しドライバーの労働環境が悪化しているとして、ヤマト運輸が当日配送の縮小や配送料の値上げを求めたり、一部の提携事業者が指定日時に荷物を届けられない事態が発生したりするなど、サービス拡充の「ひずみ」ではないかと見られる出来事も相次いでいる。
いったい誰が、何を考えてアマゾンを動かしているのか。これからどうなるのか。できるだけ多くのアマゾン社員の「顔」を見ながら血の通った話が聞きたい。そんな思いで、取材をスタートさせた。
「アマゾンというと、すべてが自動化されているイメージがあるかもしれません。でも、お客さまへの臨機応変な対応は、生身の人間の判断です」
そう話すのは、商品の入荷から出荷、フルフィルメントセンター(FC)と呼ばれる物流センターの在庫管理など、サプライチェーンを統括するSCM事業本部事業本部長の鳴坂育子さん。忘れられない出来事があるという。
2011年3月11日、東日本大震災で東日本のFCや流通網が甚大な被害を受けた。いたるところで交通がストップし、鳴坂さん自身も新宿駅で足止めされた。配送はどうなっているのか、ユーザーは何を必要としているのか……不安を抱えながら夕方になってパソコンを開くと、届いていたのは部下からの「最終確認」メールだった。