陽子さんは強盗に怯え、自宅に有刺鉄線を張り巡らせた(※写真はイメージ)
陽子さんは強盗に怯え、自宅に有刺鉄線を張り巡らせた(※写真はイメージ)
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 日本海にまた北のミサイルが着弾した。覇権国家アメリカでは“CNN”にラリアットする男が大統領だ。いつの世もリスクはつきものだが、いよいよニッポンもきな臭くなってきた。そんな時代に我が家の家計を、資産をどう守るか。苦難を乗り越え今に至る、隣の中国の「不動産投資」やインドの「金投資」から知恵をいざ、学ばん。AERA 2017年7月17日号では「中国とインドのお金を守る方法」を大特集。

 漠然とした将来不安を抱える日本人は少なくない。翻って世界には、策を講じなければ命も資産も守れない人がいる。彼らはいかにして、命と資産を守っているのか。

 セコムが2016年12月末、「日本人の不安に関する意識調査」を発表した。それによると、「最近不安を感じている」が72%。老後の生活や年金、健康、地震がトップ3に入った一方、「今後の治安の悪化、犯罪増加の可能性」には78%が「そのように思う」「どちらかといえばそのように思う」と回答した。

 国家存亡の危機に見舞われた国とは比べようもないが、災害多発、少子高齢化や核家族化といった社会構造の変化、北朝鮮ミサイルの着弾など、日本も危機と無縁ではない。何らかの危機下にある祖国・母国を持つ人、その地に長く住んだ人の防衛術や考え方が、不安解消の道しるべにならないだろうか。

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 日本の危機意識に警鐘を鳴らす“日本人”の声もある。言うまでもなく、命は最大の資産。「家族が散り散りになっても生きていればこそ」と話すのは、昨年春、40年暮らした祖国同然のベネズエラを離れた陽子さん(60代・仮名)。天国のように感じていた国は、今は地獄だ。

 不穏な気配は随分前からあった。夫は2004年、大統領罷免の国民投票を求める署名をし、国から請け負っていた仕事が一切来なくなった。10年近く手を尽くすも好転せず、心身の過労で倒れ、経営していた会社を閉めた。

 しかし、今思うとまだ平和だった。この数年で経済状況は急速に悪化。政情不安が重なり、陽子さんの自宅がある首都カラカスは、「戦地以外の殺人率は世界トップクラス」とも言われるように。デモも連日行われ、死者やけが人が多数発生。一般人にも被害は及び、陽子さんの娘は昨年、広場でヨガを指導していて、大衆を扇動した罪で書類送検されそうになった。

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