親の看取りは誰しもが経験するもの。しかし、ゆっくりと最期のお別れをすることができなかったと、後悔する人は多い。まだまだ元気だからと、話し合わずにいると、その日は急にやってくる。お墓のこと、相続のこと、延命措置のこと、そろそろ話し合ってみませんか? AERA 2017年7月10日号では「後悔しない親との別れ」を大特集。
親の死を乗り越え、受け入れ、立ち直る看取りを経験した著名人に、親の死との向き合い方、実務上で苦労したことなどについて聞いた。今回は、タレントの吉村明宏さんです。
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和田アキ子さんのものまねで知られる吉村さんは2015年4月、父・満さんを亡くした。享年85。
「酒もほとんど飲まない、趣味と言えばカラオケぐらいの寡黙な父でした」
これといって大病もせずに生きてきた満さんだったが、老齢にさしかかって寝込みがちに。そんな父を支え続けたのが吉村さんの母・静子さんだった。
「実家は横浜市の鶴見なので、僕もなるべく帰るようにして手伝っていたんですが……」
老々介護で静子さんにも負担がかかる。このままでは共倒れになるからと、老人ホームに入所して間もなく、満さんの容体が悪化。病院入院後間もなく、肺炎で亡くなった。
「そのころ、母の肝臓にがんが見つかりまして」
悪性腫瘍の疑いと診断され、抗がん剤投与が始まった。
「疲れちゃった、が口癖みたいにはなってたんです。その上あっけなく親父が亡くなってしまったので、母も相当ショックだったんだと思いますね」
そんな吉村さん母子を支えてくれたのは昔からのご近所さんたちだった。