2015年に山手線に投入されたE235系。衝突の衝撃をそらす構造や列車の様子がリアルタイムに地上でわかるシステムを導入 (c)朝日新聞社
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大阪環状線初の専用設計車両323系。車内のつり革はオレンジ色で目立ち、とっさの時につかみやすくした(写真部・堀内慶太郎)
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南正時(みなみ・まさとき)/アニメ業界を経て1970年代中盤から鉄道カメラマンに。近著に『鉄道「大百科」の時代』
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菊地隆寛(きくち・たかひろ)/1991年、JR東日本入社。「E235系からTIMSをさらに進化させた『INTEROS』を導入しました」
菊地隆寛(きくち・たかひろ)/1991年、JR東日本入社。「E235系からTIMSをさらに進化させた『INTEROS』を導入しました」

 国鉄が解体し、7社のJRが発足して30年。株式上場を機に、脱テツドウにシフトする会社があれば、お先真っ暗な未来にアタマを抱える会社あり。現在のリストラなど働く人たちの労働環境悪化は、国鉄解体に原点があるとの指摘も。「電車の進化」などさまざまな切り口で30年を検証していく。AERA4月10日号では「国鉄とJR」を大特集。

 代わり映えしない電車が走り続けた国鉄時代から、数年に一度は新車が投入されるJR時代へ──。電車の移り変わりは、JRが駆け抜けてきた30年間の日本をそのままに映し出す。国鉄からJRに変わり、もっとも大きく変わったこととは?

*  *  *

 多くの子どもたちを鉄道の世界へと引き込んだ鉄道カメラマン、南正時さん(70)は、名うての「電車」好きでもある。

「故郷の福井県でずっと蒸気機関車を見てきた反動で、今でも新しくてかっこいい電車を見るとワクワクするんです。一番好きな被写体は新幹線ですね」

 電車の中でも通勤電車は、日常に密着しすぎていて地味な存在。だが、国鉄からJRに変わり、最も大きく変わったのは通勤電車の進化のスピードだ。

 国鉄時代はオレンジと緑の「湘南カラー」を定着させた80系などの名車があるが、魅力的な電車は「西高東低」だったと南さんは言う。1963年に登場した103系という電車が全国的に20年以上主力を占めたが、西では「新快速」用の117系がインパクトを与えた一方、首都圏では好みの電車を見られない状況が続いた。

 JRに変わり、JR東日本をはじめ各社が競って名車を出すようになる。JR西日本だと2016年に登場した323系が「音も静かで評価しています」、JR東日本だと06年に登場したE233系が「広くてゆったり、乗り心地もいいし前面が丸みを帯びたデザインで撮っても楽しい」。JR九州なら89年登場の811系、JR北海道は寒冷地ならではのいかめしい顔をした731系や733系──南さんの言葉に力がこもる。

●長~く使わない電車

 JR6社がそれぞれ個性的な通勤電車を開発し、日本の通勤風景は間違いなく変わった。彼らはどんな思いで通勤電車を開発しているのだろうか。

 JR東日本鉄道事業本部運輸車両部の菊地隆寛次長(49)はこう語る。

「国鉄時代の列車は部品も含めて非常に規格化されており、変化に乏しい印象。新たな技術へのチャレンジも少なかったのではないかと思います。JRになり、乗客のニーズの変化に細かく対応できるようになりました」

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