さまざまな疑惑の片鱗が浮かびながら、真相究明が進まないもどかしさ。森友学園をめぐる一連の問題は消化不良としか言いようがない。
保守の結束を確認する、「儀式」のように映った。
「国会でこんなこと、議論している場合でしょうか?」
「違う!」
国会で連日、学校法人「森友学園」(大阪市)の問題が取りざたされていることにいら立つ登壇者の呼び掛けに、数百人の参加者が口をそろえた。
学園を運営する籠池泰典氏の国会への証人喚問から数日後。都内で開かれた保守系団体の集会でのワンシーンだ。
同時期、森友学園のおひざ元の大阪で開かれた保守系団体の集会では、籠池氏と面識があると思われる参加者から容赦ない批判の矢が飛んだ。
「まるで自爆テロ。安倍晋三首相を巻き込んで無理心中するつもりかいな」
「塚本幼稚園の教育方針には共感しとったのに、あんな人やと思わんかった」
この日の集会では、学園が運営する塚本幼稚園(大阪市)の卒園式へのボランティア派遣も報告された。「戦後レジームからの脱却」の牽引役である安倍政権の足を引っ張る籠池氏は「裏切り者」のレッテルを貼られていたが、塚本幼稚園の園児や保護者は「身内」として守る、との意識が共有されているようだった。
●神経とがらす日本会議
東京と大阪の集会に共通していたのは、森友学園の問題で保守運動に亀裂が生じたり、偏見を持たれたりするわけにはいかない、との関係者の強い思いだ。
森友学園の教育内容に共鳴していた、「身内」ともいえる保守系団体の間で「籠池外し」が鮮明になっている。
神経をとがらせているのは、安倍首相を始め多くの保守政治家も名を連ねる日本最大の保守系団体「日本会議」だ。