15年1月、支払期限当日に、大手からの買収が決まりました。それも、こうした人間関係を築いていたからだと思っています。
会社売却の時は、十数年、自力で持ちこたえてきたというプライドを売った感覚もありました。でもそれで良かった。もう一人で抱えなくていい。今はみんなで頑張れる。社員に対する付き合い方も変わり、同等の目線で話さないとお互い仕事が楽しくないと気づきました。
振り返ってみて、絶望したり、死が頭をよぎったりしたことは一度もありません。こんな経験めったにできない、かみしめようと思っていました。借金を通じて得たのは、学びと感謝だったと思います。
(構成/編集部・市岡ひかり)
※AERA 2017年4月3日号