●独身気分をキープ

 中央大学文学部の山田昌弘教授は、雇用の非正規化が進み、フルタイムの共働き世帯が減少したことも、金銭面での不満に拍車をかけていると指摘する。

「夫にとっても妻にとっても、『相手が長く会社に勤められ、効率的に稼げるかどうか』が、夫婦の幸福度に影響を与えているのかもしれません」

 女性にとっても、実家暮らしで親に家事をしてもらっていたのに、結婚によって夫や子どもの家事を負うようになり、デメリットを強く感じてしまう。

 人口減少も影響しやや減少してはいるものの、依然として高い割合の未婚者が「実家暮らし」であり、同様の負担感は今後も残っていくとみられる。

 一方、リクルートブライダル総研所長の鈴木直樹さんは、経済的にも心理的にも、いかに「独身時代の心地よさ」を維持できるかが、結婚生活を成功に導くポイントだと指摘する。

●性別役割分業から脱却

 同総研の「結婚総合意識調査2016」によると、「結婚して生活がどのように変わったか」を聞いた調査では、男女ともに「精神的安定が得られる」(男性70.0%、女性81.5%)、「好きな人と一緒にいられてうれしい」(男性73.9%、女性82.9%)といった項目を選ぶ人が多かった一方、最も前年から増加が大きい項目を調べたところ、男性は「経済的に安定する」(37.5%)で前年より5.6ポイント増、女性は「やりたいことが自由にできる」(20.0%)で4.3ポイント増に。

「男性が家族を『食べさせないと』という意識は減り、ダブルインカムで生活を安定させるという意識が高まっていると思います。お互いが『応援サポーター』になり、やりたいことを自由にできるという考え方に変わっているのではないでしょうか」(鈴木さん)

 男女ともに経済的に自立し、性別役割分業といった従来の家族観を押し付け合わない──。どうやらこの点に結婚生活を成功に導くポイントがあるようだ。

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