もともとは赤の他人の男と女。でも、誰も別れる前提で結婚はしない。夫婦という共同事業の黒字経営・高値安定はいかに可能か。うまくいく結婚、うまくいかない結婚、その分岐点は一体どこにあるのか? 例えば結婚生活では、どのような点に気をつければよいのか。そのヒントは、結婚の利点/不便を聞いた設問に隠されていた。
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「結婚による不便」を聞くと、男性は、最も多かったのが「不便に感じる点はない」、そして「自由にお金が使えない」「独身よりお金がかかる」と続く。
一方、女性は「相手の親・親族の付き合いが面倒」が最も多く、次いで「家事の負担が増える」「自由にお金が使えない」の順だった。
また、結婚の利点を聞いた設問では、男女ともに「孤独を感じない」が上位に入るものの、その他の上位項目を比べると、男性は「料理を作ってくれる」「病気の時に助けてもらえる」、女性は「金銭面での負担が軽減される」「困った時に相談できる」と答え、夫には収入と頼りがいを、妻には家事を求めるという、昭和の家族観が根強く残っているようだ。
この結果について家族社会学が専門の立命館大学の筒井淳也教授は、男女ともに「性別役割分業」の名残があり求めるメリットが得られないと不満を感じてしまう傾向にあると分析する。
「結婚前に親と同居していたかどうかによっても、結婚による相対的な幸せは大きく異なります」
こう指摘するのは、武蔵大学社会学部の千田有紀教授。日本は成人しても実家に住み、親に養ってもらう「パラサイト文化」が根強く残る。給料のほとんどすべてが自由に使える実家暮らしから、妻に給料を握られて小遣い制に移行すれば、自由に使えるお金は激減してしまう。
「実家暮らしだった男性にとって、妻の家事はどこか『かゆいところに手が届かない』。さらに、母親なら特にお礼も言いませんが、妻の場合は感謝の言葉が必要になり、面倒に思う男性も少なくありません」