●残留と離脱の傾向分析
国民投票では、残留支持の若者と離脱支持の高齢者で判断が分かれたと言われている。残留支持の黄色でふくれあがったロンドン周辺を、欧州の高齢化を示すカルトグラムの英国地図と比較してみると、高齢化率が最も低いことを指す白の部分と大きく重なっていた。同じく白い部分が多い北アイルランド地方でも残留支持の黄色と重なった。若者は残留派が多いとする傾向がある程度あったことが見て取れる。
マスコミ各社が出口調査をしていないため正確な傾向は分からないが、事前の世論調査では24歳以下で77%、25~34歳では63%が残留支持と答えていた。結局、72.2%という高い投票率を記録した国民投票の結果は、離脱51.9%、残留48.1%となり、わずかな差で英国のEU離脱が決定。先進国の中では高齢化率が低く、「若者は積極的に投票に行く傾向がある」(ヘニッグ氏)という英国だけに、若者の声が反映されやすい環境にあるとも言える。
それでも離脱となった背景には、英国中部の地方にいる若者たちから、一定程度の離脱支持者が出た可能性も推測できる。(編集部・山本大輔)
※AERA 2017年2月20日号