国立社会保障・人口問題研究所によると、2013年に夫婦双方のどちらかの親と同居している割合は31.3%で「割合は上昇傾向にあるよう」(撮影/写真部・松永卓也)
国立社会保障・人口問題研究所によると、2013年に夫婦双方のどちらかの親と同居している割合は31.3%で「割合は上昇傾向にあるよう」(撮影/写真部・松永卓也)
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元気なころのヨシエさん(撮影/写真部・松永卓也)
元気なころのヨシエさん(撮影/写真部・松永卓也)
在宅介護をしていた時の介護日誌。仕事で不在の時のヘルパーとの連絡用にも使っていた(撮影/写真部・松永卓也)
在宅介護をしていた時の介護日誌。仕事で不在の時のヘルパーとの連絡用にも使っていた(撮影/写真部・松永卓也)

 年末年始に実家に帰省して、親の老いを感じた人も多かったのではないだろうか。両親の介護や実家の管理、財産の処分、姑問題など、そろそろ考えてみませんか。AERA 2017年1月23日号では「家族問題」を大特集。

 政府の在宅介護の推進などもあり、今後親と一緒に住む世帯が増える可能性がある。年老いた親との生活はどんなもので、何に注意すべきなのか。

*  *  *

 都内の男性Aさん(45)は6年前、まだ元気な母親(73)を千葉県内から呼び寄せた。当時Aさんは39歳、母親は67歳。母の老いを見すえてのかなり早めの同居開始だった。

「母は一人暮らしで、糖尿病を患っており人工透析を受けています。膝も悪く、何かあったらと不安でした」

 一人息子で、いつかは母親の面倒を見なければと考えていたAさんの背中を押したのは、看護師をしている妻からのアドバイスだった。

「当時、我が家では3人目の子どもが生まれたばかりで、子育てでこれから大変になるという時期。妻に、『母が動けなくなってから呼び寄せると言っても、子どもがいるから受け入れられる状況かわからない。いずれ呼び寄せるつもりなら、計画性を持って動いたほうがいいんじゃないの』と言われたんです」

 母自身は住み慣れた地元を離れたくないという思いがある一方、一人暮らしに対する不安もあり、決めあぐねている状況だった。Aさんは、

「住み慣れたところで暮らすに越したことはないが、日常の安全確保ができることにプライオリティーを置きたい」

 と元気なうちに引っ越してもらうことを決断。4LDKの一戸建ての一室を母親の部屋にして、共同生活を始めた。

●同居経て結論は別居

 最初は順調だった共同生活だが、Aさんの仕事が忙しくなり、家に帰れない時期が続いたことで母と妻が互いにストレスをためることになってしまった。特に夫を早くに亡くし、一人暮らしが長かった母親は、家族6人という大所帯の生活になじみにくかったという。

「母は認知症のような症状もあって、主張も繰り返しになりがち。家族との関係がうまくいかなくなってしまった」

 この環境を何とか変えなければと、相談の上、1年前に母親には近所の老人ホームに移ってもらった。入居先のホームは自己管理を前提にしており、1人に一部屋があてがわれている。一人暮らしが長かった母にとっても、家族にとっても「今がベストなのでは」と考えている。

 先を見越して行動したことに悔いはないというAさんが、唯一後悔しているのは、母自身に主体的に同居すると決めてもらわなかったこと。

「母も納得して同居したはずだったのですが、のちに『来てほしいと言われたから来ただけ』と主張するようになってしまった。本人の意思で決めたということを確認しておかないと、あとあと揉めることになる」

 今はひとまず円満だが、そろそろ自己管理できなくなった場合のことも考えておかなければと思っている。

「大事なのは本人がどうしたいか。どういう最期を迎えたいのか聞かないといけないなと」

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