経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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2016年最後の原稿となりましたので、恒例の1年を振り返る企画であります。
16年は何といってもワタクシの場合、広島カープの25年ぶりの優勝。本当にしびれました。セ・リーグ優勝決定当日の広島における中継の瞬間最高視聴率はなんと70%超え。これは尋常ではありません。家にいる人はほぼ100%テレビを見ていたと言っていいのではないでしょうか。広島のほぼすべてのテレビ局で翌朝の5時まで!!優勝特番が流されたのです。すごい!
日本シリーズは残念な結果となりましたが、こちらも珍しい「地方都市対決」となり、特に広島はエラいことになりました。優勝パレードには31万人以上が集まり、その後の優勝報告会でマツダスタジアムには約3万1千人が集まる事態に。もう広島じゅうが歓喜の渦に巻き込まれたのです。
景気回復は広島から始まると言ってもいいくらい、広島の街はいまだにその余韻に包まれています。思えばオバマ大統領の広島訪問という歴史的出来事があり、16年は広島では何かと大事件が集中的に起き、大変盛り上がっております。このまま広島の熱が日本全国に広まることを願うばかりであります。
そしてもう一つの大事件と言えば、トランプ大統領誕生。リーマン・ショックも、欧州危機も予言してきたワタクシですが、今回はうかつにもヒラリーで決まったと宣言してしまい、これには参りました。しかしメディアではトランプ現象、アメリカの分裂(白人貧民層の反乱)などと伝えられるのですが、これはうそ。
実際、トランプ候補の獲得票数は約6120万票で前回のミット・ロムニー候補の獲得票数とほぼ変わりません。
一方ヒラリーは前回のオバマ大統領の獲得票数約6600万票からなんと300万票以上も減らしてしまったのです。つまりトランプが何かしたというよりは完全にヒラリーの自滅なのです。こういう話をなぜ誰も指摘しないのか、不思議でなりません。
17年はこのトランプ大統領が台風の目になることは間違いありません。日本のポジションは非常に難しくなるはずです。外交問題は専門家に任せるとして、経済・貿易関係は大変難しいかじ取りになることは避けられません。特に経営者の皆様はまさに「Fasten your seat belt」。乱気流に備える必要があるでしょう。
※AERA 2017年1月2-9日合併号