将棋界には名人や竜王など七つのタイトルがある。複数保持すると、獲得賞金は年間1億円を超えることもある。藤井さんは年末にもデビュー戦を迎える見込み。名人戦につながるリーグ「順位戦」には、来年度から参加する (c)朝日新聞社
将棋界には名人や竜王など七つのタイトルがある。複数保持すると、獲得賞金は年間1億円を超えることもある。藤井さんは年末にもデビュー戦を迎える見込み。名人戦につながるリーグ「順位戦」には、来年度から参加する (c)朝日新聞社
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 史上5人目の中学生棋士が誕生した。加藤一二三・九段の記録を、62年ぶりに更新してのプロ入り。“ポスト羽生”のスターとして、一躍脚光を浴びている。

 将棋界に新星が現れた。10月1日付で四段昇段、プロ棋士になる中学2年の藤井聡太さん(14)。14歳2カ月でのプロ入りは、元名人の加藤一二三・九段(76)の記録を5カ月更新する快挙だ。

 プロ入りを決めた9月3日の記者会見には、テレビカメラを含め、50人を超す報道陣が詰めかけた。フラッシュを浴びながら、「まだ実力が足りない。実力をつけて、タイトルを狙える位置に来られれば」。落ち着いた口調で抱負を語った。

 プロとして認められる四段になるには、養成機関「奨励会」を卒業しなければならない。藤井さんは昨年三段になり、1年弱で昇段した。「中学生棋士」は、過去に加藤九段、最年少名人(21歳)の記録を持つ谷川浩司九段(54)、20年前に史上初の「七冠独占」を果たした羽生善治三冠(45)、竜王9連覇の経験がある渡辺明竜王(32)の4人だけ。いずれも、時代を代表する棋士へと成長している。

 愛知県瀬戸市で両親、高校3年の兄と4人暮らし。5歳の時に祖母から将棋を教わり、地元の将棋教室に通うようになった。

 小学4年で関西奨励会に入会。月2回、大阪の関西将棋会館である例会に通い腕を上げた。昨春、中高一貫の名古屋大学教育学部附属中に入学。将棋漬けの日々を送っている。

●反則負けで大泣き

 おとなしそうな顔立ちだが、実は大の負けず嫌い。師匠の杉本昌隆七段(47)は、藤井さんが小学校低学年の時、反則負けした後に大泣きして盤にしがみついたことが印象に残っている。

「間違いなくプロになれるとは思ったが、ここまですごい記録を打ち立てるとは」

 藤井さんは、難関で知られる「三段リーグ戦」を初参加で突破したことでも驚かせた。

 今年4月開幕のリーグには、29人が参加。藤井さんは最終日を単独トップで迎えたが、1局目で敗れてしまう。だが、競争相手も相次いで敗戦。2局目は勝ち、昇段を決めるという強運ぶりも見せつけた。

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