「日本の部活がカバーするのは、中学でオリンピック種目の3割、高校で6割程度。才能ある子どもたちを優れたコーチや競技団体につないで『育つための環境』を整え、支援するのが目的です」

 主に中学生から公募し、体力テストや実技、面接で選考する。

●「ある日突然」はない

 永野日和鈴(ひより、14)は中1の夏、東京都のプログラムに応募。6期生に合格した。東京都は、半年をかけて7種目を体験し、どれか一つに決める方式を採用していて、永野も7種目を経験したうえで自転車を選んだ。現在はクラブチームに所属する。

「五輪にも参加した栄養学の先生の講義が面白かった。食事を考えるきっかけになった」

 ボートを選択した青木洋樹(15)は野球部出身。中3の夏まで部活とボートを両立。今夏、日本ボート協会のタレント育成選手に選ばれた。所属チームコーチの星遼(25)も期待を寄せる。

「心肺機能が高く、のみこみも早い。素直ですが、勝負で引かない気概も感じます。海外遠征も経験させてあげたい」

 青木本人も、意欲十分。

「自分に可能性がある限り、頑張りたい」

 金メダリストはある日突然現れるのではない。環境が整い、本人も努力してはじめて、手が届くものなのだ。(文中敬称略)

(編集部・澤志保)

AERA 2016年8月29日号

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