ゴジラの魅力は「強さであり、超越した存在」。竜巻や火山の噴火のように、人間が抗うことができないものに似ている、と。
「生命力ですかね」
その生命力を表すため、シン・ゴジラではゴジラから余計なものを排除した。歩いている時も、どこを見ているかわからないようにした。意思も、感情も、持たない。人知を超越した強い存在にしたかったという。
あと一つ。シン・ゴジラではリアリティーに徹底的にこだわった。非常事態が起きた時、政府内でまず誰が動くのか──。政治家をはじめ各省庁の官僚、自衛隊に至るまで何人もから話を聞き、非常事態における国や官僚の反応をつぶさに調べあげた。シン・ゴジラの物語の核は官僚たちだ。
「今までのゴジラのどこにも属していない、新しいゴジラになっています」
●格好いい「黄金比率」
ゴジラフリークは芸能界にも多いが、芸能界切ってのゴジラ好きと言えば、なべやかんさん(45)だろう。
11歳だった81年、プラモデル雑誌に載っていたメカゴジラの模型の写真に驚いた。
「なんじゃこりゃあ」
メカゴジラとは、74年に公開された「ゴジラ対メカゴジラ」に登場するロボット型ゴジラだ。
なべさんは映画で観てメカゴジラを知っていたが、ここまで格好いいとは思わなかった。改めて過去のゴジラ作品を観ると、虜になった。
「迫力というか、存在感。怪獣としての完璧なデザインです」
そんななべさんによれば、ゴジラには格好よく見える「黄金比率」があるとか。
ゴジラの肩からまっすぐ横に線を引き、背びれの先端に達したら真下に線を引くと正方形になる。これが、ゴジラを格好よく見せる黄金比率。とりわけ99年の「ゴジラ2000 ミレニアム」から2004年の「ゴジラ FINAL WARS」の間のミレニアムシリーズと呼ばれるゴジラに顕著だという。
また、実際に台風が来て川が氾濫したりすると惨事だが、映画だとそれが可能になる。イマジネーションを刺激してくれるのが特撮でありゴジラだ、と。
「僕は、ゴジラは単なる怪獣ではなく、日本の文化を象徴する存在だと思っています」
●人類に対する警告
そもそも、ゴジラとは何者なのか。日本列島を繰り返しめちゃくちゃに破壊するばかりで、なぜ暴れるのか。ゴジラは何も語らない。もとより、ゴジラの破壊行動に、理由はない。