この期限は、食品を加工したメーカーや販売業者が、輸入食品であれば輸入業者が、「責任をもって」決めることになっている。
「消費期限は『期限を過ぎたら安全ではない』、賞味期限は『その日付までならおいしく食べられる』を意味する。どちらも未開封が原則です」(徳江さん)
ただし、消費期限は、本当にNGな期限の3分の2ほどに設定されていることが多いので、1、2日過ぎても「直ちに危険」ではない。一方、期限内であっても、保存条件によっては腐敗や品質劣化が見られる。
例としてわかりやすいのが、卵だ。卵は、「賞味期限」の対象食品であることが示すように、実は傷みにくい食品。
「卵の賞味期限は『生で食べられる期間』です。10度以下での保存なら、57日間生食可能という実験結果があります」(同)
冷蔵庫は一般的に7、8度なので、理論上は冷蔵庫で約2カ月もつ。しかし、スーパーに並ぶ卵で、2カ月先の賞味期限表示のものは見かけたことがない。採取や流通が常温で行われるので、1年を通じて27度で生食可能な期間17日をもとに、賞味期限を決めているからだ。
●調理後は2時間で
さらに、その他の条件でも期限が異なってくる。卵のベストな保存法は、・パックに入れたまま・卵のとがったほうを下に・冷蔵庫の奥に。冷蔵庫のドアポケットが定位置の人も多いだろうが、冷蔵庫の開け閉めのたびに振動がかかり、温度の上下も大きいため、劣化を速める。
「卵の丸いほうには空間があり、こちらを上にすると黄身が安定して鮮度を保てます」(同)
卵を洗って保存は駄目。殻には小さな穴が無数にあり、雑菌が入ったり、水が卵の呼吸を止めたりするので、腐敗の原因になる。殻のヒビは菌の侵入を招く。ヒビ入り卵は、すぐ、できれば加熱して、食べよう。
よくある勘違いは「調理したほうが長持ち」だ。賞味期限2週間の生卵をゆで卵にすると、冷蔵庫保存で4~5日で悪くなる。半熟の卵料理は調理後だいたい2時間以内に食べたい。しっかり加熱した場合でも、冷蔵庫で保存し、その日じゅうに食べるべきだ。徳江さんは言う。