
失敗を許容できないひがみ大国ニッポン舛添前都知事、ベッキー……どうしてそこまで厳しい集中砲火を浴びてしまうのか。バッシングを受けにくい人の共通点とは。
日本社会では一度転んだら、もう二度と立ち上がれないのか。この春、都内在住のある女性は、公立小学校の父兄向け研修でこんな指導を受けた。
「SNSにお子さんのお名前、お写真、行動履歴は残さないでください。本人に実名での発信もさせてはなりません」
書き込んだ「一度の過ち」が炎上すれば、中学や高校受験、ひいては就職にまで響きかねない、というのだ。過ちとは未成年の喫煙か飲酒か、それとも店舗でのいたずらか。ダメなことには違いないが、そうだとしても、一生を棒に振ってしまうなんてことがあっていいのか。
炎上は社会の問題点を明らかにし、是正するきっかけになる。しかし、暴走するケースは少なくない。「失敗できないニッポン」を後押しすることさえ、あり得る。
この6月、都内有名私立大学の学生がネットに上げたある動画が炎上した。学生らはスーパーの店内で輪になって歌い、「迷惑行為だ」と批判が殺到。大学は即謝罪。騒ぎは収まらず、学生のプライバシーが暴かれ、一部学生のSNSアカウントは閉鎖に追い込まれた。
●充満するエンビー
こうなる失敗と、そうでないものの間には違いがある。
「大学生を例にとるなら、MARCHクラスなどでお洒落なイメージのある大学が危ない。それ以外は名前は出ずに『都内私立大』で終わるケースも多い」
こう言うのは、武蔵大学社会学部教授で、ネットの炎上を研究する千田有紀さんだ。
MARCHすなわち、明治、青山学院、立教、中央、法政大学。優秀といえば優秀だが、東京大学や京都大学ほどのエリート校ではない。つまり、「微妙に」手が届きそうで、憧れもあるから、叩く対象の「エンビー(=ひがみ)」をかき立てる。
大学だけではない。今年厳しい集中砲火を浴びたのは、タレントのベッキーだろう。既婚のバンドマンとの不倫行為は、グーグルジャパンの上半期検索急上昇ランキングで1位を記録している。この期間でもっとも関心を集めた話題だ。