舛添要一都知事が6月21日付で辞職する。首都の知事が約3年半で3人も代わる異常事態。あと40日ほどで、私たちは再び都知事を選ばなければならない。いま改めて「都知事とは何か」を考えたい。
あっけない幕切れだった。
6月15日、約5時間遅れで始まった東京都議会本会議。
「私が身を引くことが一番だと考えるに至り、都知事の職を辞する決意をいたしました」
わずか2分28秒。舛添要一知事は最後のあいさつを終えると、憔悴(しょうすい)しきった表情で議場を後にした。2日後には毎週金曜日の定例会見が行われる予定だったが欠席。疑惑を明らかにしないまま、表舞台から姿を消した。
もう、こんなぶざまな辞任劇は見たくない。そう思っている人がほとんどではないか。
●組織管理能力が必須
猪瀬直樹氏、舛添氏と2代も続いた、「政治とカネ」の問題による都知事の辞任。5千万円に見立てた模型を無理にカバンに押し込んだり、ファミリー向けホテルへの正月の宿泊や『クレヨンしんちゃん』の購入をすべて「政治活動」と説明したり。7月14日に告示され31日に投開票を迎える都知事選では今度こそ、ポストにふさわしい人物を選びたい。そのためにはまず、「都知事とは何をする人で、どうあるべきか」を知っておく必要がある。
元都庁職員で、石原都政で副知事も務めた明治大学大学院の青山やすし特任教授は、都知事についてこう話す。
「他の自治体の首長とは仕事の幅が圧倒的に違います」
人口約1360万人の東京都は、実に62の区市町村を抱え、都の職員だけで16万6千人。特別会計などを含めた予算は14兆円にのぼり、スウェーデンの国家予算に匹敵する。制度上は他の道府県と同等だが、その規模は圧倒的。さらに東京都は、通常なら市区町村が担う実務の一部を担っている場合も多い。消防やゴミの最終処分などがその例だ。知事の裁量範囲は広く、平たく言えば「仕事量をこなせる人」でなければならない。