あれから約15年。私の意見を覆す新しい理論も事実もないまま、「海外派兵したいからするんです」という調子で安保法制の審議が始まりました。私は衆院の憲法審査会などで「違憲」だと繰り返しましたが、最後は多数決で強行突破。法律学に最低限要求されるマナーさえ守られていないと感じました。
海外派兵したいのなら、自衛隊ではなく「自衛軍」を持つことです。軍なんですから「交戦権を認めない」と言う必要もなくなる。ただしそれには、主権者である国民の十分な納得が必要です。
私は改憲派です。誰が読んでも「裏口入学」ができないような、読み間違えのない明解な憲法を望んでいます。ただ、今は冷静に憲法改正を論じることはできません。悪の政治を選挙で退場させて、憲法を守る習慣が確立してからにしましょう。
私は、左手に障害を持って生まれ、「いつ死んでもいい」という反骨心で生きてきましたが、34歳で娘を授かった時から「生きなくては」という思いが強くなりました。ここまで働かせていただいた恩返しとして、憲法違反の政治を変えるために、やるべきことはやろうと思っています。
(構成・アエラ編集部)
※AERA 2016年5月16日号より抜粋