「集中力が続かない時はひたすらぼーっとしたり、好きなゲームをしたり。12時くらいになるとやる気が出てきて勉強するスタイルでした」

 スケジュールの立て方は、時間にはよらない。例えば、この科目の問題集をこの1週間でやるとざっくり決めるだけ。気分がのっていたらやり続けてもいいし、どうもはかどらなければ翌日に、というように一日一日はフレキシブルに変えた。 

 平均的に深夜0時から始めて眠くなる3~4時ごろまで勉強。気になる問題があれば、時間を気にせず納得できるまでじっくり考えるスタイルを貫いた。

「私は夜のうちに気になる勉強は終わらせておこうと思うタイプ。朝起きなきゃという焦りがなく気持ちよく寝られるから」

 とはいっても膨大な過去問題集は、本能のおもむくままの勉強ペースでは終わるはずがなかった。東大受験日までに残された最後の10日間はほぼ寝ず、過去7年分の過去問題集と20年分の数学の問題を黙々と解いてやりきった。

「計画的にはできませんが、決めたノルマの帳尻はなんとか合わせたいタイプなんです」

 人それぞれ、集中力が高まる時間帯も勉強スタイルも異なる。ただ、一つ言えるのは自分に合ったスタイルを「習慣化」させ、貫き通した人は勉強が身につきやすいということだ。

 オンライン学習アプリ「スタディサプリ」を提供するリクルートマーケティングパートナーズによると、アプリを通して一定のコマ数の授業を継続的に長期間使い続けた人のほうが、単発で使っている人より、大学受験の合格率は高かったという。リクルート次世代教育研究院の萩原静厳さんは言う。

「なんとなく始めてみたけれど、うまくペースがつかめない人は、結果として受からないことが多いんです」

 大学受験で第1志望に受かった人の受講時間帯で最も多かったのは夜9~11時だったのに対して、受からなかった人が最も多かったのは深夜0~1時。ずるずると夜遅くまで勉強するよりは、時間を区切って集中したほうが合格率が上がるということかもしれない。(アエラ編集部)

AERA  2016年4月4日号より抜粋