「アプリで勉強漬けじゃなく、部活もちゃんとしてほしい」

 一方、子どもたちは強制されずとも、独自に普段の生活の中でスマホなどを活用している。東京都の私立中高一貫校に通う中3の女子生徒は、軽音部の先輩がアップした動画でギターを復習。試験前には難しい問題をLINEのタイムラインに投稿して、同学年で解き合う。

 この学校は東京大学などに高い進学率を誇る進学校。学校にスマホの持ち込みは自由で、来年度からはほぼ全校舎内で無線LANが利用可能になる予定だという。生徒の“自主的な”ICT活用に任せているようだ。

 幼児期や小学校からICT教育を上手に取り入れてほしい親たちも多い。公立小学校の現場を「まだ石器時代のよう」と嘆くのはメーカー勤務の女性(38)だ。都内の小学校で子どもの10歳を祝うイベント「二分の一成人式」に出席したとき、親子で交換した手紙について、50代半ばの担任は壇上から嫌みを言った。

「心がこもる手書きが一番。中には数人、パソコンで書かれたお母さんもいましたが……」

 女性は長男のために家族写真を組み込んだA4で4枚の手紙をパソコンで作成したが、全否定だ。女性は言う。

「ICTはコミュニケーションや書くことをむしろ活発にする道具なのに、手書きじゃないだけで拒絶反応がすごい」

 ICT教育の重要性が広がる一方で、それが有害なサイトやチャット、ゲームなどと子どもが接触するきっかけになり、悪影響を与えるのではないかと心配する声も少なくない。(ライター・三宮千賀子)

AERA  2016年3月14日号より抜粋