「いい大学」に入るため「いい中高一貫校」を目指す子どもたち。大学入試改革で暗記より思考力重視の流れが加速するなか、中学受験塾は「能動的な学び」を仕掛けている。
大手塾がしのぎを削る中学受験の世界で、地元の特定の中学の受験に強みを発揮する「個性派塾」が存在感を増している。塾長の裁量で展開される授業は、マニュアルとは無縁の文字どおりのアクティブラーニング。子どもの学習意欲を刺激し、思考力を高める「白熱教室」が特徴だ。
受験まで残り1カ月となった1月4日。東京都豊島区の大正大学の講義室で、都立中高一貫校受験塾「早稲田進学会」の「小石川合格特別講座」が開かれていた。
「君たちは、どんなときに『もったいない』と思う?」
この日の作文のテーマについて、大島茂塾長が、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授よろしく、教壇から塾生に問いかける。
「ジュースをこぼしたとき」「ずっと続けてきたことが、直前でだめになったとき」「試験前なのに、だらだらしてしまったとき」
次々上がる子どもたちの言葉を拾いながら、「もったいない」という言葉には物的損失のほかに、時間の損失、努力の損失があることを説いていく。
早稲田進学会は都立中高一貫校対策が専門で、都内に2教室と小規模ながら、毎年多くの受験生を合格に導いている。特に小石川中等教育学校に強く、昨年は全合格者数159人のうち46人と、3割近くを占めた。