その後、CMの仕事で、再びバンジージャンプと対峙(たいじ)した時のことだ。
「私が飛ぶのを見守ろうと、ジャンプ台の下で何十人ものスタッフや関係者が待っていてくれる。カメラ位置を決めるためだけに、スタントの人が何度もポンポンと飛んでくれる。周りのそんな状況を見たとき、ふと『飛べる!』って思ったんです」
初めて取り組む仕事に足がすくむ経験は誰にでもある。自分にすべての重圧がかかっているように感じるからだろうか。
「私はそんなとき、カメラ目線で自分を俯瞰(ふかん)してみるんです。当事者って視野が狭くなっているけど、意識して一歩引いて見てみる。すると、面白さが見えてきます」
勝ちグセをつけることの大切さも知った。
「バンジージャンプは絶対に飛べない、と自分を『洗脳』したくなかった。負けることは絶対あるけど、その癖をつけてはいけないと思いました」
以来、北米大陸最高峰のマッキンリーやヨーロッパアルプス最高峰のモンブランなどへの過酷な登山、24時間テレビのチャリティーマラソンなど、あらゆる仕事を引き受け続け、今年で芸能生活10周年。そして、30歳になる。
「たとえば蛇とか、いまだに苦手な動物はいる。でも最初に『はい』と言うと、やるしかなくなります」
それでも、どうしてもイヤで、苦しくて、引き受けることを躊躇(ちゅうちょ)するとき。自分に言い聞かせる言葉があるという。
「『Itʼs my JOB!』というのが最後の落としどころなんです」
※AERA 2016年1月11日号より抜粋