パリ経済学校教授社会科学高等研究院研究代表者トマ・ピケティThomas Piketty/仏社会科学高等研究院とロンドン経済学校で博士号取得。米マサチューセッツ工科大学、仏高等師範学校などを経て2006年にパリ経済学校設立、初代校長。2013年に『21世紀の資本』仏語版を出版(撮影/写真部・外山俊樹)
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パリ経済学校教授
社会科学高等研究院研究代表者
トマ・ピケティ

Thomas Piketty/仏社会科学高等研究院とロンドン経済学校で博士号取得。米マサチューセッツ工科大学、仏高等師範学校などを経て2006年にパリ経済学校設立、初代校長。2013年に『21世紀の資本』仏語版を出版(撮影/写真部・外山俊樹)
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 日本の大学生は本を読まない。全国大学生活協同組合連合会が2014年に行った調査では、4割以上の大学生が一日の読書時間がゼロだった。

 一方、アメリカの大学生は4年間で数百冊の本を読むとされる。世界の大学生はどんな本を読んでいるのか。

『21世紀の資本』で世界的に知られるパリ経済学校教授のトマ・ピケティ氏は、自身のシラバスをネット上に公開。読むべき本のリストを挙げている。「全部は読まなくていい」「ただ、少なくとも『強く推奨』とした本にはトライして」と注記し、どの授業にどの本が関連するか、丁寧に説明している。

 著名教授の課題図書の多くは翻訳されていて、日本でも手に入る。残念ながら、日本人の著作を挙げた教授はいなかった。

 以下で、ピケティ氏が勧める書籍を紹介する。

■『21世紀の資本』(みすず書房/トマ・ピケティ著/山形浩生、守岡 桜、森本正史訳)

3世紀にわたる世界各国の租税資料を詳しく分析。富の集中と経済的不平等の拡大のメカニズムを論じた。膨大なデータをもとに「二つの世界大戦から数十年間のごく限られた時期を除き、不平等は拡大し続けている」という結論を「r>g」という数式で導く。今年から来年にかけての「Economic History」の課題図書の筆頭にあげている。

■『経済統計で見る世界経済2000年史』(柏書房/アンガス・マディソン著/金森久雄・監訳/財団法人政治経済研究所訳)

著者はイギリスの経済学者。本書は、紀元1年から2000年までの、世界中の人口や実質GDPについての歴史統計。ウィリアム・バーンスタインの『「豊かさ」の誕生─成長と発展の文明史』やジェフリー・サックスの『貧困の終焉:2025年までに世界を変える』は、本書のデータを使って書かれたとされる。

■『大分岐─中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』(名古屋大学出版会/K.ポメランツ著/川北 稔・監訳)

現在はシカゴ大学の教授を務める著者が、2000年に上梓。著者はこの本で、2000年のジョン・K・フェアバンク賞、世界歴史学会著作賞を受賞している。ユーラシア大陸の東と西に位置し、近代まではほぼ同等に経済成長を遂げてきた西ヨーロッパと東アジアは、いつ、何をきっかけに「分岐」していったのかを描いたグローバルヒストリー。

AERA 2015年11月23日号より抜粋

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