「公務員のほうが、消費が旺盛なのは驚きだった。所得が安定しているだけでなく将来不安が少ないからでしょう」
東京都職員の平均年収は約735万円で、民間企業の平均より320万円も高かった。さらに退職金も年金も手厚い。
「将来の不安はないので、あと気をつけるのは健康に生きていくことくらいですかね」
20代後半の都庁職員の男性はそう話す。民間企業に勤める大学時代の友人たちと比べると恵まれた環境だと実感してきた。特に、1年目に配属された部署は事務処理が中心で、残業することはほとんどなかった。同じ部署の先輩たちは毎日、終業時刻の午後5時45分までには机の上を片づけ、チャイムが鳴る直前の「プッ」というスピーカー音を合図に席を立って退庁した。
「大学のサークル仲間はマスコミや金融機関で働く人が多く、つき合いの良かったやつが飲み会に来なくなったり、ストレスで体調を崩したりしていた。大企業に勤める人と比べると給料は低かったけど、転勤もなく、死ぬほどつらい思いをすることもない。社会の『中の上』くらいで、健康的に長く働き続けられたほうがいい」
※AERA 2015年11月16日号より抜粋