リーマン・ショック以降、民間企業の平均給与は低迷を続け、なかなか消費が伸びない状況が続いている。そんな中で、倒産がなく、手厚い退職金が約束され、福利厚生も充実している公務員が人気だ。いま大学生の就職志望ランキングでは「地方公務員」がナンバー1だ。
そんな公務員が「上流化」していることを示すデータもある。消費社会研究家の三浦展さんの著書『格差固定』によると、今年、三浦さんと三菱総合研究所が共同で行った調査では、自身の階層意識を「上流」と答えた人は公務員で3割を超え、民間企業の正社員の倍だった。一方で「下流」は正社員の約半分の2割。10年前の調査と比べると、公務員は「中流」と「下流」が減り、「上流」が増えていた。民間企業で働く人たちが下流化する一方で、公務員が上流化しているのだ。
購買行動を見てみると、仕事着に1着「7万円以上」の高額投資をしているのは、公務員が10.7%で、正社員の5倍だった。一方で「最近買っていない」と答えた正社員は過半数で、公務員よりも10ポイント以上多い。昼食代では、公務員は庁舎内の食堂を利用しているのか「500円未満」が正社員より多く、「1500円以上」がわずかに多い。民間企業では昼ご飯を食べる時間もないのか、「食べない」が2.8%いた。
飲み会には「5千~7千円くらい」を払う公務員が6割を超えるが、民間では「3千円以下」の飲み会が4割弱。節約のためか「あまり参加しない」正社員は24.0%で、公務員の倍近くもいた。さらに、公務員は会社員より結婚率も持ち家率も高く、旅行を楽しんでいたのだ。三浦さんはこう指摘する。