例えば、国を挙げていじめ対策のために道徳の授業を強化するとなると、「副読本をどう使うか」など授業の年間計画を提出しなければならない。同様の調査を文部科学省、県、市、教育委員会が次々に行い、その都度、書類作成に忙殺される。

 年度末の12~3月は報告書の締め切りラッシュで、テストやノートのチェックは後回しになり、自宅で眠い目をこすりながらこなす始末。兵庫県の小学校に勤務する40代女性教師は、「この状態でクラス40人の一人一人を丁寧にみるなんて、限界がある」ともらした。

 本業のはずの「教える」ことに専念できず、むしろ後回しにせざるを得ない状況に若い人ほどバーンアウトし、最後はうつ病になって辞めてしまう。この女性教師は、そんな後輩の姿を毎年のように見送ってきた。

「悔しい思いが残ります」

AERA  2015年11月16日号より抜粋

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