国を挙げて留学する学生を増やそうとしているのに、制度がそれを妨げる矛盾。もちろん、解消に向けて動き出した大学もある。(グローバルエデュ編集長・さとうなおみ)
留学が、大学進学に不利に働いてしまうかもしれない――。東京都内に暮らす専業主婦(46)は、そんな不安を抱く。現在、都立高校2年の娘(17)は1年間の予定でアメリカに留学中だ。それが「大学進学に不利」とはどういうことなのか。
娘が通う都立高は、学年ごとに決められた科目を学ぶ「学年制」ではなく、学ぶ科目を生徒が選択し、入学時に定められた一定の単位数を取得することで卒業資格が得られる「単位制」。希望の大学に進学するには、その大学の受験科目に沿った単位取得が必要だ。それなのに、
「担任は3年生の夏に戻ってきた時点で空きのある授業を取ってくれ、と言うんです。留学する生徒を応援してくれているとは言いがたい」
そもそも娘は、東京都が主催する都立中高生対象の留学プログラムに参加したくて都立高に進学した。このプログラムを使うと、1年間の北米もしくはオセアニア地域の高校への留学に加え、日本国内で英語や日本文化を学ぶ半年~1年間の事前研修を含むコースに、実質負担80万円で参加できる
都が「次世代リーダー育成」を目的に実施しているのだが、都立高側のサポート体制が整っているとは言えないようだ。