キャリアコンサルタント楠木新さんくすのき・あらた/1954年、神戸市生まれ。生命保険会社を今年、定年退職。著書に『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』など(写真:本人提供)
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キャリアコンサルタント
楠木新
さん
くすのき・あらた/1954年、神戸市生まれ。生命保険会社を今年、定年退職。著書に『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』など(写真:本人提供)
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 働き続けるなかで、ひとつの峠となるのが40代。ちょうど「課長」の役職に差し掛かる頃で、「こころの定年」とも重なるこの時期だ。モチベーションをどう維持し、乗り越えればいいのか、のキャリアコンサルタントの楠木新さんに聞いた。

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 大半の企業では40歳前後が課長登用の時期です。それ以降に多くの社員が“峠”を迎えることになる。私はこの現象を「こころの定年」と呼んでいます。勤め上げねばと思う半面、働く意味に悩む状態です。かく言う私も、生命保険会社で働いていた40代後半に「うつ状態」に陥り出勤できなくなりました。ヒラ社員で復帰したものの、何をすればいいのか分からない。その後、試行錯誤を続けながら、会社を辞めずに、本を書いたり、講演をしたりする別の道を見つけました。

 会社を辞めずとも生き甲斐を見いだす方法は四つのパターンがあると思います。一つ目は「出世型」。エリート街道を走れる人は突っ走ればいい。ただ、出世は運に左右され、左遷された時、折れやすいというデメリットはある。役職ではなく、仕事がとにかく好きといったタイプは「仕事好き好き型」が向く。与えられた仕事に工夫を凝らすことを心がけるといい。

 会社外に好きなことがある人は、「枠組み脱出型」か「社外発信型」が合います。前者は、心から好きなことがある人に向くパターン。私の後輩の一人は、スノーボードのインストラクター資格を取得。そこで評価される自分を確認して自信を取り戻し、本業でも管理職に昇進しました。後者は、モノを書く、音楽など、自分の得意技で社外に打って出るパターン。私はこのタイプですが、出版社に直接電話をして売り込むなど平気でやりました。これがつらいと思う人には向きません。いずれにしても、会社残留か脱出かの二者択一だけで考えないほうがいい。工夫すれば第三の道だって開けるのです。

AERA  2015年7月13日号より抜粋

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