■これって名医?「投薬を急にやめてくれた」
あるうつ患者は、主治医を信頼している理由についてこう話す。
「扱う薬の種類も多く、症状に合わせてこまめに薬を変えてくれるんです」
この「こまめに」が重要だとTomy氏は言う。
「患者の希望を受けて投薬を急に全面的にやめたり、中身をがらりと変えてしまったりする医師は、要注意です」
副作用に苦しみ、薬物を全て断とうとする患者はいるだろう。だが、薬の量や中身は徐々に変えていくことが、精神科治療の鉄則。それまでの処方に問題があった場合でも、1~2週間かけて徐々に減らしたり内容を変えたりする。逆に言えば、主治医を代えた後、当面は同じ薬を飲み続けるよう言われたとしても心配はない。
「薬に頼らずカウンセリングで治したいという患者さんもいますが、主体は薬物治療であり、カウンセリングはあくまでも補助。統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、カウンセリングが副作用を引き起こす病気もあります。誤解されがちですが、精神科医にとってカウンセリングは専門外。カウンセリングを希望するなら、臨床心理士がいるクリニックを選ぶといいでしょう」(Tomy氏)
※AERA 2015年7月6日号より抜粋