韓国で、中東呼吸器症候群( MERS(マーズ))の感染拡大が止まらない。韓国政府の発表によると、12日現在、126人が感染し、死者は10人にのぼる。どんな病気なのか。なぜ韓国で感染爆発が起きたのか。海を挟む隣国・日本にとって、対岸の火事ではない。
MERSとは、コロナウイルスの一種が起こす感染症だ。コロナウイルスは風邪を起こすありふれたウイルスだが、2003年、致死率が高い新型による感染爆発が、中国、香港などアジアを中心に起きた。新型肺炎と呼ばれた「SARS」だ。
世界中が恐慌に陥ったが、世界保健機関(WHO)などのさまざまな対策により、1年半で900人以上の命を奪った後、姿を消した。
それから8年経った2012年。SARSの後継のように登場したのがMERSである。発熱、せきに始まり、重症化すると肺炎を起こし、最悪の場合、死に至る。
SARSはハクビシンから人に広がった。MERSではヒトコブラクダだ。これまでのMERS患者は、ラクダが身近な中東に住む人か、この地域から帰国した人に限られている。