『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』の著者である戸塚隆将さんが、ゴールドマン・サックス、ハーバードビジネススクール、マッキンゼーで学んだ人脈づくりのスキルを明かす。
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人間が一人でできることには限りがあります。私は2007年に起業を経験しましたが、仲間がいなければできませんでしたし、人とのつながりを通じて多くの助言をもらいました。
むろん、自分の職場でも、そういった仲間は見つけることができるでしょう。しかし、社外にはより多くの、多様な人々がいるわけですから、社外でのつながりを広げることは、長期的に見ると、自分の助けになることが多いです。
拙著『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)で触れたことですが、「どんなに多忙でも、週1回は社外の人と会う」があります。これには、人とのつながりが広がるのはもちろん、日々の仕事に閉じこもりがちなマインドをリセットしてくれる効果もあります。
「この人の話を聞きたい」とピンときたら、気軽に声をかければいいし、誰かに間をつないでもらうのもいい。
ただし、声のかけ方って少々迷うものです。「社外の誰か」が常に「友人」であるとは限らないわけですから。このとき、ちょっと意識するポイントがあります。まず、相手への興味を自分自身で強く持つこと。そして、声をかけるときは「いろいろとお仕事の話とかを聞かせてください」と言う。そうすると、次に会ったとき、コミュニケーションが盛り上がります。
例えば、「ビジネス交流会」がありますよね。こういう場を上手に使っている方は大勢いるでしょう。ただ、よくあるケースとして、こういうことはないでしょうか。「対面→名刺交換→雑談→今度一緒に何かやりましょう」と言いながらも、結局それっきり。
なぜこうなるのか。それは「共通の目的(ゴール)」を持てなかったからなんだと思います。仮にこれが持てれば、同じゴールに向かう仲間だから、関係づくりの最初でハードルになる「利害関係」も超えられる。会食でも交流会でも、「人脈をつくりたい」という自己利益が表に出てしまうと、相手も自分も身構えてしまいますよね。まず、利害関係はなるべく捨て「人脈」という言葉をあえて意識しないほうがいいです。
※AERA 2015年6月1日号より抜粋