「子どもの就活に余計な口を出してはいけない」そう言われても、わが子のために何かしたい!と思ってしまうのが親心。「余計な口出し」はNGですが、正しい口出しが必要な場面はあります。
2013年12月にキャリアセンター通いを始め、翌14年1月から7社にエントリー。4月までに2社の内定を得て、就活を終えたという寺澤涼介さん(23)。「コスパのよさ」が際立つが、振り返れば就活は、大学1年から始まっていたと話す。
陰のプロデューサーが、人事・経営者向けポータルサイトを運営するプロフューチャー(旧HRプロ)社長の父・康介さん(51)だ。持論は、
「就活は、これまでにやってきたことや自分の価値観と企業の相性で決めるもの。就活の時期がきたからって、バタバタと対策して取り繕っても意味がない」
父の勧めもあり、涼介さんはデジタルハリウッド大学入学直後から有給インターンシップを始めた。仕事は不動産の電話営業。当初は「うざい」「迷惑」と断られ続けた。それでも反応があればいいほうで、名乗った瞬間に切られることもあった。アポイントは全く取れなかった。
だが、涼介さんはくじけなかった。インターン仲間と勉強会を始めたのだ。仲間のほとんどは就活を終えた4年生。アポ獲得に成功したときはどんな工夫をしたか、声のトーンはどうだったか。そのうち、1件、2件とアポが取れるようになった。
父の教えはもう一つ。常々、「学生のときから、社会人と接する機会を多く持つことが大事」と教え、やはり大学1年のころに、知人に「OB訪問」させた。これをきっかけに、涼介さんは就活を始める3年までに、多くの社会人と接する機会を得た。
やがて、3年の秋。就活対策として特別なことはしなかったが、11月になると父は、就活に対する考え方や動き方をひと通り伝授してくれた。
「相手にされない著名企業ばかり狙ってもムダ。自分の大学の学生を採る意思のある企業を受けるべきだ」「大手企業を目指さなくていい。中小やベンチャーのほうが成長できるケースも多い」
そこで涼介さんは、もっぱら大学のキャリアセンターに通い、求人票が来ていた企業を中心に厳選した7社にエントリー。面接が始まったのは2月。相次いで2社に内定したのが3月と4月。その間たった5カ月だ。
※AERA 2015年5月18日号より抜粋