スポーツで培った「底力」が魅力なのか、部の人脈に対する期待なのか――。体育会学生に対する企業のニーズは高い。体育会ならではの現場で活きる能力が評価されているようだ。
体育会学生向けの就職支援や企業の採用コンサルティングを行う「アスリートプランニング」によると、体育会学生は全学生の約8%、4万~5万人いるという。昨秋、今春卒業予定の体育会学生263人を対象に「就活振り返り調査」を実施すると、2割の学生が5社以内の面接で内定を決め、3割強は6~10社の面接で内定を決めていた。ふつうは何十社も面接して内定にたどりつくのに、体育会学生は早々に就活を終える傾向があるようだ。
なぜか。調査の回答から企業にもてる理由が見えてくる。「部活について話すと明るさや礼儀正しさをほめてもらえた」「体育会だから有利というわけではないが、大学生活の中で本気で何かに取り組んだことは高く評価してもらえた」などなどだ。
「部活は仕事と似ている部分がある」という回答もあったが、実際、試合で培った瞬発力は、体育会学生の強みだ。
サントリースピリッツのウイスキー戦略部スペシャリスト、佐々木太一さん(43)は、専修大学バレーボール部の出身。1年のときに全日本ジュニア代表に選ばれ、3年からは日本代表入り。サントリーに入社後は、Vリーグ5連覇に貢献した。