ほぼ日手帳180度パタンと開く設計で片手でも書きやすいよう工夫されている。裏写りしにくい紙「トモエリバー」を使用。鶴見さんの歴代手帳。手前は展覧会で感激した直後に喫茶店で展示内容をスケッチ、後日色塗りして仕上げた。左奥は会議中のメモ。糸井さんの顔もスケッチ。右奥はバードハウスの取材中に書いた(撮影/今村拓馬)
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ほぼ日手帳
180度パタンと開く設計で片手でも書きやすいよう工夫されている。裏写りしにくい紙「トモエリバー」を使用。
鶴見さんの歴代手帳。手前は展覧会で感激した直後に喫茶店で展示内容をスケッチ、後日色塗りして仕上げた。左奥は会議中のメモ。糸井さんの顔もスケッチ。右奥はバードハウスの取材中に書いた(撮影/今村拓馬)
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薬の処方シールやもらった付箋もその場で貼り付ける(撮影/今村拓馬)
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薬の処方シールやもらった付箋もその場で貼り付ける(撮影/今村拓馬)
手前はオリジナル、奥はシンプルさを追求した英語版(撮影/今村拓馬)
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手前はオリジナル、奥はシンプルさを追求した英語版(撮影/今村拓馬)
手帳の枠に合わせて作られた「ほぼ日のまるふせん」「ほぼ日のフィルムふせん」(撮影/今村拓馬)
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手帳の枠に合わせて作られた「ほぼ日のまるふせん」「ほぼ日のフィルムふせん」(撮影/今村拓馬)

 手帳といえばスケジュール管理のためのもの、と思ってしまうが、言葉や気持ち、落書きを気ままに綴る「日々のライフログ」として使う人が増えている。そんなユーザーたちが熱く支持するブランドのひとつが、「ほぼ日手帳」だ。開発者らに制作の背景を聞いた。

 糸井重里さんが編集長を務めるウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」が2002年版から販売し、「1日1ページ」を基本スタイルとする「ほぼ日手帳」は、14年版は50万冊を販売。その特徴は、書くための余白がたっぷり用意されていることだ。

 ほぼ日手帳の開発担当者で愛用者の鶴見さくらさんは、「その日のスケジュール以外のこともどんどん書きます。会議のメモ、打ち合わせ相手の似顔絵を描くことも。同僚にもらったフセンやおみくじなど“捨てづらいけれど最終的に捨てていたもの”の行き場にもなる」と、話す。

 開発メンバーは総勢7人。16年版の企画ももう始まっていて、週3回のミーティングを重ねている。

 意識しているのは、「ほぼ日刊イトイ新聞」とのつながり。手帳のページ下の「日々の言葉」は、1年間に掲載されたコンテンツから社員全員で選び、再構成。どの順で、どの日に入れるかも吟味するのだという。

 巻末のおまけも、毎年、更新する。英語版では旅館での過ごし方や温泉入浴法など、ちょっと笑えてためになる要素も収録。手帳は、ウェブショップの「ほぼ日ストア」を経由して世界68カ国に旅立っている。

 プロモーションを担当する冨田裕乃さんは話す。

「スケジュールは相手の都合に合わせるもので、いわば相手が主役。でも、1ページに描くライフログはあくまでも自分が主役の出来事です。だからなのか、日々のスケジュールが特にない人でも楽しんで使ってくれている。ほぼ日手帳のユーザーは幼稚園児から子育て世代、80代の方までと、幅広いんです」

AERA 2014年12月15日号より抜粋