逆風の中、選挙への出馬を決めた小渕優子氏。「無風区」に吹いたからっ風の中、守りたいのは“小渕ブランド”なのか。
「小渕さん出馬を決めたらしい」
小渕優子衆院議員の地元、群馬県吾妻郡に住む50代の男性支援者は、顔見知りの自民党関係者と世間話をしていた時、そのニュースを耳にした。
「当然、出るべきだと思っていました」
男性にとって、意外性はなかったという。この話を聞いたのは11月18日の昼下がり。安倍晋三首相が、衆議院の解散を表明する前のタイミングだった。
政治資金収支報告書をめぐる問題の渦中にある小渕氏。この男性支援者のように、「無風区」だった地元の支援者らの結束は、一見すると揺るぎないかに見える。しかし、突然襲った解散の激流は、小渕氏をさらに困難な立場に押し流しかねない。
「議員を辞めるより、出馬するほうがつらい選択だったと思う」
父の恵三氏が率いた小渕派の番記者経験があるジャーナリストの鈴木哲夫氏は、そうみる。 仮に総選挙を乗り切ったとしても、新たに招集される国会で政治倫理審査会などが開かれ、今回の問題について改めて説明を求められる公算が大きい。政治資金規正法違反の疑いに関する東京地検特捜部の捜査も、選挙後に再び本格化する見通しだ。
「選挙が禊(みそぎ)にならないのです。それでも、彼女は“小渕ブランド”を守るために出馬せざるを得なかったのではないか。地元で築かれたある種の利権構造や組織、人間関係を考慮した末の結論だったと思います」(鈴木氏)
※AERA 2014年12月1日号より抜粋