「デング熱の可能性を考えておかないと、見逃す恐れもある。まずは、渡航歴があればデング熱を疑う必要があります」(水野さん)
デング熱にはワクチンがなく、治療は解熱剤などの対症療法に限られる。
「ただ、感染によって血小板の数が減っているので、アスピリンを含む解熱薬は飲んではいけない。体が止血する働きを妨げるとされるからです」(水野さん)
現状、国内感染者は容体が安定している。ただ、感染症を専門とする医療機関は都内でも少ない。都は今後、都内病院に検査キットを配備する方針だ。
旅行など海外でデングウイルスに感染して帰国する輸入感染者は、99年(9人)、2000年(18人)、01年(50人)と、50人前後で推移していたが、10年(244人)、11年(113人)、12年(220人)、13年(249人)と、急増している。20年に東京オリンピック・パラリンピックが行われるのは、7月末から9月上旬。まさに、この時期に各国から人を迎えるのだ。
「地道な感染症対策も、立派なおもてなしの一環だと考えるべきでしょう」(高崎さん)
最後に、ヒトスジシマカは、人だけでなく温血動物全般を好む。代々木公園にはドッグランがあり、犬の散歩も多い。
高崎先生、犬や猫などペットにも感染するんでしょうか?
「大丈夫です。犬や猫には感染しません」
(編集部/井上和典、宮下直之)
※AERA AERA 2014年9月15日号