仕事も家事も育児もがんばろう!「イクメン」として家庭進出している男たちが、息切れしそうになっている。その実例を紹介する。

 土曜日が、はじまる。朝から洗濯機を回して家族で朝食を囲み、公園に出かけるはずの、一日が。

「パパ、起きて~!」

 はしゃぎながら体の上に乗ってくる息子たちの攻撃をかわし、頭から布団をかぶる。

「お父さんしんどいから、ゴメン…」

 会社員の男性(26)は4月に異動してから慣れない仕事が片付かず、帰宅が遅くなりがちだ。たいていは午後9時を過ぎ、子どもと風呂に入れるのは週1回。社内には、仕事ができ、家事も育児も楽しんだうえで、時間を捻出して自己実現も果たす、憧れの先輩パパが何人もいる。自分はまだまだだ。

「仕事も家庭も自分自身も大事にするのが、理想の父親像。『家族サービス』という言葉を使うような人はダサいと思います」

 飲み会が入ると妻の機嫌が悪くなる。妻は夜も休日もほとんど出かけず育児を優先している。

「たまには気分転換してきたら」
「だって、あなたが早く帰れないから予定が立たないじゃない」
「仕方ないじゃん。俺が仕事を頑張れなくなってもいいの?」

 心の中で本音を吐く。──家計を支えているのはどっちなんだよ──

 パートで働く妻の収入は世帯収入の2割ほどで、勤務時間も午後5時まで。家事も対等を求められるのはちょっと無理がある、と思う。では妥協点はどこなのか。家事や育児には合格ラインなんて存在しない。

「仕事、家庭、自分自身、すべて100%実現したいけど、体は一つ、時間は24時間でいっぱいいっぱい。『両立という無理ゲー』を楽しもうと割り切っていても、すべて投げ出したくなるときがフッとやってきます」

AERA 2014年9月1日号より抜粋