松木さんはJリーグが創設された1993年から2年間、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の監督に35歳の若さで就任。2年連続リーグ優勝という華々しい戦績を残した。その目線で、いまの代表をこう語る。
「個性を前面に出す強引な選手を止めることはできても、前に行かない選手を行かせるのは難しい。もっと個の強さを出してほしいなと思います」
三浦知良やラモス瑠偉といった名選手を率いた松木さんだからこそ語れる言葉だ。
最後に、解説した記憶に残る試合をたずねた。
「日本がW杯に初出場を決めた『ジョホールバルの歓喜』でしょ。それからアトランタ五輪で日本がブラジルに勝った『マイアミの奇跡』。それから……」
節目となる勝利の陰に、松木節があるではないか。間違いなく「持ってる」男だ。ブラジル大会では、激戦が予想される第3戦のコロンビア戦で解説を予定している。期待しよう。
松木安太郎さんの迷言集!
よしよしよしよし、今日かつ丼食ったからねー、俺たち
(2013年ベルギー戦。FW岡崎が3点目を取った直後に)
ふざけたロスタイムですね~
(2011年アジアカップの日本対シリア戦。2対1で日本が勝っている状況でロスタイムが6分と表示され、憤慨)
手袋にノリがついてる感じ
(2011年アジアカップの日本対サウジアラビア戦。GK西川のファインセーブにたまらず発言)
観客が静かなうちに、もう1点取っちゃえばいい
(2013年ベルギー戦。日本優勢で進んでいる状況で、小声で)
レフェリーのカットだね。12人になりましたよね、日本チーム
(2013年オランダ戦。オランダ選手のパスがレフェリーに当たって日本に味方したとき、嬉しそうな声で)
パク・チソンが4人くらいいるんじゃないかと
(2011年アジアカップの日本対韓国戦。攻守に存在感を示す韓国のMFパク・チソンの活躍で、日本が押され気味の際に)
(編集部・井上和典)
※AERA 2014年5月26日号