
外資電子書籍が普及するなか、国内の書店やネット通販業者が、「不公平だ」と憤っている。海外業者は消費税ゼロという現実があるからだ。
「公平な競争であれば負けても仕方ない。不公平な競争を強いられて国内の業者が撤退すれば、日本の文化にまで影響する。それを一番懸念しています」
4月10日、都内であった「海外事業者に公平な課税適用を求める緊急フォーラム」。紀伊國屋書店の高井昌史社長は、約300人を前に窮状を訴え、「消費税8%が10%になったら、うちも白旗を上げざるを得ない」と苦しい胸の内を明かした。
不公平な競争とは、次のような構図だ。
電子書籍を国内業者から買うと、8%の消費税がかかる。一方、海外のネット通販業者から買えば、消費税はゼロ。同じ千円で販売した場合、海外業者は消費税分をもうけにすることができる。もし、8%の消費税分を値引きすれば、消費者は当然、海外業者から買うだろう。国内業者は消費税率が5%だった頃から、海外業者との間で消耗戦を強いられ、もう限界というときに税率が8%に上がった。