2月26日、大阪・梅田でマスクをして歩く人たち。後方のビルがかすんでいる。この日は各地の自治体がPM2.5への注意喚起を呼びかけた (c)朝日新聞社 @@写禁
2月26日、大阪・梅田でマスクをして歩く人たち。後方のビルがかすんでいる。この日は各地の自治体がPM2.5への注意喚起を呼びかけた (c)朝日新聞社 @@写禁
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PM2.5の飛来がピークを迎え、各地で警報が発せられている。でも、気をつけて。
水銀まで飛んできて、河川や湖を汚染。琵琶湖ではナマズから水銀が見つかった。
(ライター・長谷川煕)

 本題は大気汚染なのだが、まずは湖の話から始めたい。

 滋賀県立大学環境科学部の永淵修教授の研究チームは、4年前から琵琶湖の魚の水銀濃度を調査している。中国から偏西風によって飛んできた水銀が内陸水域の魚類にどう影響するかを調べるためだ。そこでショッキングな結果が浮かび上がった。体長が1メートル前後もあるビワコオオナマズから1キログラム当たり856マイクログラム(μg)、体長50センチ前後のふつうのナマズからも420μgの総水銀を検出したのだ。

●琵琶湖の水銀ナマズ

 国は、魚介類に含まれる総水銀の暫定規制値を0.4ppmと定めている。ビワコオオナマズの汚染濃度を規制値の単位に合わせると0.856ppmで、規制値の2倍を超える汚染ということになる。ふつうのナマズも0.420ppmで、規制値を上回っている。

 総水銀のほとんどは、メチル水銀で占められている。メチル水銀とは、本県の水俣湾一帯の住民に多数の死者を出し、いまも後遺症を残す水俣病の原因物質だ。

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