
祐璽さんは、かつてジーンズショップを経営していたが、閉店。借金を抱えたこともある。が、10歳年上のストーンズを見て、「まだやれる」と生きてきた。撮影はマヤさんの夫、浩一さんの経営するロックバーで。休業中だが、再開したい(撮影/小暮誠)
ミック・ジャガーとキース・リチャーズは70歳、チャーリー・ワッツが72歳。ロン・ウッドが66歳。「ザ・ローリング・ストーンズ」の平均年齢は70歳に達した。一昨年、英国医師会は「ソロミュージシャンは、バンドメンバーより早死にのリスクが2倍高い」という研究結果を発表。その例に漏れないのか、ストーンズは健在だ。
2月26日を皮切りに、3日間の東京ドーム公演が行われるが、1万4千~8万円の高額チケット15万枚に対して、25万件もの応募が殺到した。主なファン層は50代、60代。なぜ、彼らはこのバンドに惹きつけられるのか。
東京都葛飾区の武井マヤさん(37)がストーンズファンになったのは、父の影響。父の藤本祐璽さん(61)は、46年間ストーンズを聴いてきた。マヤさんは父から「勉強しろ」と言われたことは一度もないが、10代の頃アルフィーを聴いていたら「何でストーンズじゃないんだ」と小言をもらった。父に連れられ、これまでライブは国内25回、海外で4回観ている。
子どもの頃に観たストーンズは「まだ」若かった。でも、いまでは衰えは隠せないと感じる。あのミック・ジャガーだって声は出なくなった。ただ、「声が出ないなら、コーラス隊を入れる。サポートメンバーも増やす。アレンジも変えている」(マヤさん)。つまり、枯れることを自然に受け入れる点がいい。