ステージズ・オブ・ア・ロング・ジャーニー/エバーハルト・ウェーバー
ステージズ・オブ・ア・ロング・ジャーニー/エバーハルト・ウェーバー写真・図版(1枚目)| 『ステージズ・オブ・ア・ロング・ジャーニー/エバーハルト・ウェーバー』
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ベースの鬼才エバーハルト・ウェーバー生誕65年記念コンサート
Stages Of A Long Journey / Eberhard Weber

 現在ジャズ界屈指の重要レーベルに数えられ、クラシック~現代音楽でも注目作を連発しているのがドイツのECMだ。ECM初期の1973年以来、一貫してこのレーベルでリーダー作を制作し続けてきた古参ベーシスト、エバーハルト・ウェーバーは、ゲイリー・バートン(ヴィブラフォン)やパット・メセニー(ギター)のアルバムへの参加などを通じて地位を固め、現在はサックス奏者ヤン・ガルバレク・グループで活躍。3年前の来日公演を観た時の感動は、いまも記憶に新しい。

 本作は2005年3月に生地シュトゥットガルトで開催された生誕記念コンサートのライヴ・アルバムである。ガルバレク・グループの4人がコア・メンバーとなり、ウェーバーゆかりのミュージシャンと交響楽団が加わる編成。

 過去の作品からの再演曲を盛り込んだプログラムは、キャリアの集大成といった趣だ。ガルバレクのサックスが官能的に響き、ゲイリー・バートンのヴィブラフォンがドリーミーなメロディーを奏でるオープニング・ナンバーから、特別なイヴェントである雰囲気が伝わってくる。

 自作曲をインタールード風のソロでつなげた28分超の組曲は、セルフ・オマージュと言える大作。ウェーバー独自の武器である5弦のエレクトリック・アップライト・ベースが発する幻想的なサウンドは、やはりこのベーシストだけにしか求められないものだと改めて思った。本作をきっかけに、実績に見合った評価が日本でも高まることを望みたい。

【収録曲一覧】
1.Silent Feet
2.Syndrome
3.Yesterdays
4.Seven Movements
5.The Colours Of Chloe
6.Piano Transition
7.Maurizius
8.Percussion Transition
9.Yellow Fields
10.Hang Around
11.The Last Stage Of A Long Journey
12.Air

エバーハルト・ウェーバー:Eberhard Weber (allmusic.comへリンクします)
→ジャズ・ベーシスト

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