生殖や快楽が目的の様に思われるセックスだが、突き詰めると人間という「集団型」動物ならではの願望が見えてくる。
子供を授かり、すっかり「ママ」然とした妻を、性的対象として見られなくなった江崎伸一さん(37=仮名)。セックスをしないまま7年が経った。夫婦生活が再開したのは、2年前。週末の午後、妻の由美さん(32=仮名)がキッチンで料理を作っていた。ありふれた日常の場面だった。
「妻がはいていた黒いストッキングのふくらはぎに、5センチぐらいの穴が開いていたんです。その肌色の穴をしげしげと見ていたら、忘れていた妻の体の感触が急によみがえって、カーッとしてきたんです」
そして、由美さんのエロチックな姿態の妄想で、頭がいっぱいになった。その晩、寝室で背後から抱きしめると、由美さんが急に泣き出したという。
「もう女として見てもらえないのだと思い、寂しかったと言うんです。母親になって性欲がなくなったのかと思っていたけど、違ったんですね」
寂しい思いをさせていたと反省した江崎さんは、そのあと由美さんとセックスについてじっくり話し合った。そして、由美さんの一言にギョッとする。