じぇじぇ!「あまちゃん」がついに今週、最終回を迎える。多くのファンが「あまちゃんロス」に陥るのは必至。どう克服したらいいのか。
「何を心のよりどころにしていけばいいのか、責任をとってほしい」と嘆くのは、書評家の豊崎由美さんだ。毎週、1週間分を録画して、週末の夜、トイレを済ませ、バーボンのグラスを片手にじっくり楽しむ。
「見ているうちに自分の中で『あまちゃん』が高まってくる。なくなるのかと思うと…」
思えば初回のオープニングから引き込まれていた。大友良英作のテーマ曲が流れ、三陸の美しい海が映る。
「津波の真っ黒い海を見てしまったみんなに、このきれいな海を見せたかったんだな」と思うと涙がこぼれた。宮藤官九郎の脚本にも魅せられた。
「すごくアバンギャルドなことのできる人が、おじいちゃん、おばあちゃん、小学生にもわかるドラマにしている」
1980年代アイドルなどの小ネタやサブカルネタを満載しつつ、わからない人も気にせず見られる配慮がある。さらに豊崎さんが心を奪われたのは、主人公の天野アキを演じる能年玲奈だ。
「52年間生きてきて、芸能人でいちばん好き。いつも水がたまっているような目、ちょっとアヒル口なのもかわいい。顔にいやなものが出ていないでしょう。見ているだけで、自分がニタニタ笑っている。彼女がどれだけの人を幸せにしていることか」
能年が祖母の夏ばっぱの年になるまで「あまちゃん」が続いてほしいと願っているが、現実には今週で終わる。
「飼い猫が死んでもペットロスまでいったことはない。人生で初めてのロス経験だから、自分がどうなるか想像がつかないんですよ。やる気を失って仕事ができなくなるのが心配です」
ドラマ終了後のあまロスについて、精神科医の春日武彦さんにきいてみると、
「確かにさびしい、つまらないというのはあるだろうけど、ドラマが完結する満足感、充足感はあるはずだし、終わって残念ということをみんなと共有できますからね」
本当につらいのは、家族やペットのように取り返しがつかないものを失って、しかも自分だけで抱え込まないといけない孤独感があるときだという。
「一時的にがっくりきても、あとになって振り返れば、話のタネになる。五輪終了後にくる祭りのあとのさびしさと同じで、それも楽しみのうちなんです」
※AERA 2013年9月30日号