中高年のオートバイ集団が増えている。特徴は、交通法規を守った整然とした走行スタイル。そして彼らが乗るのが往年の「旧車」であることだ。
空冷マルチエンジンのネイキッド車が基本。中でも人気はカワサキZ400FXやスズキGS400E、ホンダCBX400Fなど1980年代の暴走族らに人気だった名車たちだ.
こうした旧車の趣味人らの集まりは「旧車會」と呼ばれる。全国各地に200チーム以上あるようだ。元暴走族だけでなく、とことんオリジナルやドレスアップにこだわる人、普段はネットでのつながりが多く「リア充」を求める人など様々な旧車好きが集う。
都内で大型貨物専門の運送会社を経営する雨宮実さん(48)は、30~40代中心に約80人が集う旧車會「剛」のまとめ役だ。かつて単独の暴走族集団としては日本最大だった「スペクター」でリーダーをしていた。
「昔は危険な走り方や無茶苦茶なこともしていた」
と振り返る。他のチームとの抗争などのいざこざもあったが、チームを一つにまとめていた自負がある。統率力という意味で、その経験は今の会社経営にも生かされているという。
仕事場は東京・大井埠頭。海外からのコンテナが大型トレーラーに手際よく積み込まれていく。作業員に細かく指示していた次の瞬間、大声が響いた。
「安全第一。しっかりと運んでくれ」
港の空気がピンと張りつめる。裸一貫で始めた会社が、いまは従業員10人を抱えるほどに成長した。
※AERA 2012年12月17日号
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