4月から引き上げられる主な医療費の項目 (週刊朝日2020年3月13日号より)
4月から引き上げられる主な医療費の項目 (週刊朝日2020年3月13日号より)
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年金は4月から目減りする (週刊朝日2020年3月13日号より)
年金は4月から目減りする (週刊朝日2020年3月13日号より)
乗り切るためのポイント (週刊朝日2020年3月13日号より)
乗り切るためのポイント (週刊朝日2020年3月13日号より)

 もうすぐ4月からの新年度が始まる。新しいことにチャレンジしようという人もいるだろうが、家計のやりくりは難しくなる。いろんなモノが値上がりし、医療費も引き上げが目立つ。負担増が一気にやってくるのだ。一方で収入は伸び悩む。コロナショックで賃金は抑制され、年金は2年連続で自動カット。どうやって乗り切ればいいのか。

【図】年金は4月から目減りする

 高齢者にとってつらいのは医療費でも上がる部分があること。2年に1度の診療報酬の改定で全体的に医療機関への報酬は手厚くなる。薬価など引き下げられる項目もあるが、入院患者らにとって負担は増える方向だ。

 象徴的なのが、紹介状がないまま大病院にいきなり行くと初診で5千円以上、再診で2500円以上の追加料金が必要となる制度。これまでベッド数が400床以上の病院が対象だったが、4月から200床以上にまで広がる。対象となる病院数は420から670になる。大病院への患者集中を避ける狙いだが、高度な医療を受けたい人にとってはハードルが上がる。

 入院料が5200円上乗せされる制度もできる。救急車を一定数受け入れ、医師の待遇改善の計画も作った病院に入る場合に適用される。患者本人の負担は5200円の1~3割。医師の負担軽減のコストを患者に転嫁するものだ。

 ほかにも医師の事務作業を助けるスタッフらを置いた場合に、入院料が上乗せされる制度もある。負担額に上限を設ける「高額療養費制度」によって実際の増加幅は抑えられるが、医療費が上がる人は多い。

 消費増税もあって税金も家計にのしかかる。会社員らの「給与所得控除」が縮小され、高収入者の負担が1月から増えた。年金受給者の「公的年金等控除」も見直され、高収入受給者は負担増となった。

 収入のうち税金や社会保険料として強制的に取られる割合は高まっている。財務省は2月26日、2020年度の「国民負担率」の見通しが、過去最高の44.6%になると発表した。個人や企業が稼いだ「国民所得」の半分近くが、政府に吸い上げられている。自分の生活に回せるお金が減っているのだ。

 値上げもあって家計から出ていくお金は増えるのに収入は心もとない。コロナショックで企業の業績は悪化しており、今年の春闘では大幅な賃上げは望み薄。早期退職などリストラを強化するところも相次ぐ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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