私立大の志願者数の速報1位は今年も近畿大で、7連覇となる見込み。一般入試の志願者数は、人気を測るバロメーターの一つとして注目される。だが今年は、本来人気が高いはずの大学の大半が、志願者数を減らすことになりそうだ。
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大学通信によると、主要約100大学の志願者数(2月18日時点判明分、以下同)は約268万4千人で、昨年より約5%減少した。
早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)といったブランド大が軒並み減少し、近年人気を集めていた東洋大、駒澤大、芝浦工大などもそろって減少に転じた。
「早慶、上智、(東京)理科大、MARCHがすべて減るなんて、この40年間見たことありません。必ずどこか志願者を集める大学があったんです」
と大学通信の安田賢治常務は、今年度の入試の特殊性を強調する。背景にあるのは、よりいっそう強まった受験生の安全志向だ。来年度から大学入学共通テストが始まるため、受験生がハイレベルな競争を避けた結果、人気のブランド大や難関大が続々と志願者を減らす「ねじれ現象」となったとみられる。安田さんは次のように指摘する。
「推薦・AO入試の合格者が増え、センター利用の私大志願者は大幅に減った。そこから推測するに、浪人したくなくて、上位校を受験しなかったのでしょう」
こうした中、志願者を増やした大学もある。ランキング2位の日本大は昨年比15%増、約1万3千人志願者が増えた。昨年度は「アメフト問題」で大幅に志願者を減らしていた。教育ジャーナリストの小林哲夫さんが言う。
「せいぜい昨年並みに落ち着くかと思ってましたが、増えましたね。経済学部など、文系の学生が戻ってきたのではないでしょうか」
理系の単科大学で志願者を伸ばしているのが、14%増の千葉工大だ。試験日を自由に選べたり、1日の受験で受験料の追加なく全学部・全学科を併願できたりする制度があり、センター利用の志願者も好調だった。
「日大や東洋大、東芝電工(東京都市大、芝浦工大、東京電機大、工学院大)の併願校に位置づけられ、同じくらいのレベルの大学がほぼない。津田沼、新習志野の両キャンパスは駅前でアクセスも良く、東京にも近い。ロケーションも大きいです」(小林さん)