漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、連続テレビ小説「スカーレット」(NHK総合 月~土曜8:00~ほか)をウォッチした。
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朝ドラ「スカーレット」、画面が地味である。特に年が明けてからこっち、だいたいヒロイン喜美子(戸田恵梨香)が独りぼっちで飯食ってる。
前作「なつぞら」のオープニングはカラフルなアニメだったけど、今回は茶色の粘土だし。北海道の大草原を馬が駆け抜けていたのに比べ、野辺の傍らから信楽焼のたぬきがジッとこちらを見つめているばかり。
ストーリーも盛り上がりそうなところをサラ~ッと流す。喜美子の妊娠&出産もすっ飛ばし、夫・八郎(松下洸平)と弟子の三津(黒島結菜)の微妙な関係も、ドロドロが爆発する寸前であっさり三津が退場。
ヒロインがちやほやされたり、称賛されたりするドヤ顔度数も少なめだから、なんかこう、じれったい。
その代わり描かれるのは、物作りをする者の業だ。何度失敗しても穴窯の窯たきをやめない喜美子。薪代に大金をつぎこんで、借金をして、子供の貯金に手をつけようとしてまで、喜美子はやめない。「次は成功させる。次こそは」
「冷静になれ」という夫の言葉も届かない。というか、同じ陶芸家なのに、ここで常識的な正論しか言えない夫・八郎。結局、彼は家を出て行く。きっと八郎は恐ろしかったのだ。